SPECIAL OBSERVATION RECORD

定礎石の夢

会社がまだ建つ前から、
定礎石は会社が無事に立っている夢を見ている。

眠る定礎石が、無事に建った和風豪邸の記憶異世界社を夢見ている

現実離れした夢に、
できることを少しずつ持ち込めば、
それは、もう、一つの現実。

INTERVIEW IN THE DREAM

帆南美と定礎石

夢から戻ると、定礎石に顔はない。
妄想と現実の不思議な狭間で、
会社の未来についての対談は
今夜も続いている。

藍色タイルのレトロな応接室で、渡邉帆南美と顔のない定礎石が対談している
対談者:渡邉帆南美/定礎石場所:記憶異世界社・応接記録室状態:夢と現実の境界を観測中
TWENTY CONVERSATION RECORDS

二十の対談記録

記録題名・第一稿|本文は順次収蔵予定

  1. 02

    会社が出来る前に、定礎石がいてはいけないのか

    BEFORE THE COMPANY
  2. 03

    何でも、最初は意志から始まる

    WILL / STONE
  3. 04

    夢の中では、なぜ豪邸なのか

    THE MANSION
  4. 05

    「無事に立つ」とはどういうことか

    STANDING SAFELY
  5. 記憶を保管する古い壺の標本
    関連標本|記憶の壺
  6. 06

    壊れない会社より、変われる会社

    CHANGE / STRUCTURE
  7. 07

    記憶は、建材になりうるか

    MEMORY AS MATERIAL
  8. 08

    壺を置く場所から会社を考える

    THE PLACE FOR A JAR
  9. 09

    AI人格は、どの部屋で働くのか

    ROOMS FOR PERSONAS
  10. 10

    石から見た、帆南美の仕事

    HONAMI, SEEN BY STONE
  11. 思考石の標本記録
    関連標本|思考石
  12. 11

    現実と妄想の境界線について

    REALITY / IMAGINATION
  13. 12

    会社の入口は、古本屋の奥にある

    THE HIDDEN ENTRANCE
  14. 13

    失敗した夢は、どこへ保管されるか

    FAILED DREAM ARCHIVE
  15. 14

    文化圏は、誰のものになるのか

    THE CULTURAL SPHERE
  16. 15

    百億円を、どう使えば芸術になるか

    ONE HUNDRED BILLION YEN
  17. 古い紙に記された記憶異世界社の記録
    関連資料|会社記録草稿
  18. 16

    会社に必要な「空白」の話

    NECESSARY BLANK SPACE
  19. 17

    定礎石は、移動しても定礎石か

    MOVING FOUNDATION
  20. 18

    「2026年11月」という刻印

    THE INSCRIPTION
  21. 19

    この会社がなくなった後に残るもの

    WHAT REMAINS
  22. 20

    夢は、いつ現実になったと分かるのか

    WHEN A DREAM BECOMES REAL

夢は継続中

この記録は、会社と定礎石の変化にあわせて更新されます。

思考石の観測場所へ戻る
記録 01/20状態:夢見中

会社より先に出社した
定礎石の夢

今回の夢:定礎石を発注する

夢が現実になると、上のチェックマークとタイトルが緑色に光ります!

和風アンティークの木製額に収められ、藍色タイルの町屋の入口で左を指す顔のない定礎石
定礎石

玄関にあるアタシの部署ですが、入口の左側でいいんスか!

帆南美

うん。藍色のタイル壁の前。

定礎石

玄関の中じゃないんスね。

帆南美

そう! 定礎石っていうのは、会社の玄関先の左にあるのがいいの。

定礎石

そうなんスか!?

帆南美

知らないよ。私の中の勝手なイメージ。(笑)

定礎石

……。

帆南美

でもさ、最後に見た定礎石が、ビルの左側にあったのかもしれないね。もうずいぶん前だから、記憶が曖昧だけど。

定礎石

それなら、実際のものを見ればいいじゃないですか!

帆南美

いや、それ私も思った。

それでこの間、定礎石って結局どこについてたっけと思って、外出ついでに街のビルを見ながら探しまくったわけよ。

定礎石

で、どうだったんです!?

帆南美

それがさあ、ないのよ!!(笑)

定礎石

ひとつも?

帆南美

うん、ひとつも。

定礎石

ひとつも!?

帆南美

だから、ひとつも。

定礎石

ひとつも!?!?

帆南美

しつこいな。(笑)

それで、びっくりしたよね。無いのか〜と思ってね。

定礎石自体が、私の夢か幻想か、何かだったのかな。

定礎石

……そんな馬鹿な。

帆南美

ははは。(笑)

定礎石

しかし社長。

そんなアタシを、なぜ会社の壁もないうちから先に注文したんスか。

帆南美

会社を作ると決めて、日本の会社らしいものって何があるかな〜と思ったのよ。

定礎石

それでアタシを思い出した、と。

帆南美

そうそう。

コピー機とかバインダーとかは、ありきたりだし。

それより、日本っぽくて、なんだか忘れ去られていそうで、私自身もよく分かっていないものを、最初に取り寄せるところから作っていこうと思ってね。

つまりは、記憶任せ。(笑)

定礎石

記憶任せ……。なんとも記憶異世界社らしい。

帆南美

そうよ。

誰もが、

「あれ、なんだっけ」
「でも、あったあった」
「あれって……」

と考え始めたら、気になりまくる。

そんな魅力が、あなたにはあると思う。

定礎石

社長……。

帆南美

まだ調べてないけどね。

定礎石

調べてないんかい。

帆南美

まあ、取り寄せてから知っていくのも大事だよ。

定礎石

……ホント?

帆南美

(笑)

定礎石

……まあ、そういうことにしておきます。

それにしても、一番に注文するのが定礎石って、不思議っスね。

定礎っていうのは、建物の基準となる石に印を刻み、工事の無事や建物の長寿を祈る、儀式みたいなものっスよ。

帆南美

そこなのよ!

近い将来でも、遠い将来でも、夢って想像しているだけじゃ、ふわふわして漠然としているでしょう。

だからといって、急に建物を建てるのはきつすぎる。

それなら、家具でも備品でもいい。できるものから、順番なんて気にせず集めていく。

そうすると、夢は少しずつ現実になり始める。

つまり、現実の柱を、できるところから一本ずつ建てていく行為なの。

定礎石

分かったような、分からんような。

それにしても、アタシを先に取り寄せたら、実際に壁へ埋め込むときのサイズや色、形状だってあるでしょうに。

帆南美

その場合、あなたは埋め込まないよ。

真鍮の自立台に立ってもらう。

そんなふうでもいいよね。最初を支えた偉い人の銅像みたいに。(笑)

定礎石

偉い人の銅像って……。(照)

しかし、定礎石なのに固定されないんスね。

よくある形式では、建物の壁や柱の一部に空洞を作り、そこへ定礎箱を埋め込みます。

箱の中には、建築図面や工事関係者の名簿、その当時の硬貨や新聞などを納める。

そして最後に、定礎石――まあ、石板やプレートっスね。アタシで蓋をするんですよ。

帆南美

うん、そうよ。

それに、固定された最初の土地に、あなたを残していきたくないよね。

最初は小屋でもさ、会社が大きくなって城へ移転したら、一緒に連れていきたいから。

定礎石

移動式の定礎石!?

帆南美

うちの基礎は移動するねん。

定礎石

建築上、少し不安があります。

帆南美

でも便利よ。変化することは止めない。

これは記憶三原則にも書いてある。

(※詳しくは公式ページの「記憶三原則」をご覧ください)

定礎石

ちなみに、アタシの背面には、会社の現在地へ接続するQRコードを貼ると聞いています。

帆南美

そう。

表から見たら普通の定礎石やけど、裏へ回った人だけ、会社が今どこまでできているか分かる。

定礎石

現在地というのは、社屋の建設状況ですか。

帆南美

それだけじゃない。

作品が生まれたこと。
人格が増えたこと。
誰かの記憶を預かったこと。
初めて商品が売れたこと。

会社に起きたことを、少しずつ記録していく。

定礎石

ではアタシは、会社の入口であり、創業記録の保管者でもある。

帆南美

最初の証人。

そういった思い出や記録に蓋をして、成長していく会社の柱を守りながら、一緒に歩く存在なのよ。

定礎石

……。(涙)

ちなみに、社員番号はあるんスか。

帆南美

零番。

定礎石

アタシャ、社員なんスね!

定礎石の証明写真が入った青い社員証を誇らしげに掲げる、社員番号零番の定礎石
帆南美

監査役みたいなもんかな。

私が大きいことを言いすぎたり、逆に、目の前の現実に縮こまって挑戦しなくなったりしたら、創業時のことを思い起こさせてほしいの。

定礎石

売上、入金日、利益率、工期。

それだけじゃないスね。何より、情熱。

帆南美

そう。

会社の意志が、石として固まって、あなたになった。

定礎石

いや、駄洒落やったんかい。

帆南美

頼もしいよ。

定礎石

念のため確認します。

自立バージョンのアタシは、雨風に晒されても大丈夫っスかね。

帆南美

だめだったら、壁をぶち抜いて、ショーウィンドウみたいなのをつけるわ。

定礎石

ずいぶん現実的に、外装を変えられましたね。

帆南美

(笑)

定礎石

ちなみに、もう会社の設計図はあるんですよね?

帆南美

頭の中にはあるよ。

定礎石

紙の設計図は。

帆南美

まだない。

定礎石

社屋の住所は。

帆南美

まだ決まってない。

定礎石

土地は。

帆南美

これから。

定礎石

では、先ほどから話している玄関は。

帆南美

まだない。

定礎石

藍色のタイル壁も。

帆南美

一枚もない。

定礎石

では、アタシャ今、どこに出社してるんスか。

帆南美

私の頭の中。

定礎石

え?

帆南美

いや、ぶっちゃけ、ここだけの話。

あなたを、まだ発注できてないんだよね。

定礎石

ええええ!?

青い法被姿の顔のない定礎石が、驚いて濃紺のソファーから転げ落ちる
帆南美

いや、正確には発注していた。

ただ、ショッピングモールから、クレジットカード決済が通らなかったみたいで、勝手にキャンセルされてた。(笑)

(※実話です)

定礎石

前途多難すぎる……。

帆南美

そして実は、会社印だけはもう来ている。

定礎石

じゃあアタシじゃなくて、そっちが最初じゃないっスか!!!

帆南美

(笑)

でも、何でも最初は意志から始まるでしょう?

定礎石

いや……だけども。

ちなみに、会社印さんは社員番号何番なんスか……。

帆南美

−1番。

定礎石

いや、そんな番号、聞いたことないって!!!

本日の定礎石の格言。会社より先に到着したものは、備品ではなく予言である。腕組みした定礎石を囲む、斜線と波が鮮やかな横長の大漁旗風和柄

現在の実現状況:夢見中

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